「セイコー・クロノス」の歴史と魅力【体験談】
1980年代を彩ったセイコーの名作クォーツ「クロノス(Chronos)」。当時の日本の技術の粋が詰まったミニマルで美しいデザインは、現代のライフスタイルやジャケットスタイルにも上質なアクセントを添えてくれます。

そこで今回は、クロノスの電池交換を発信します。
オークションやリユースショップ、あるいは親世代から譲り受けた大切なクロノスが止まっている時、時計店に持ち込んでも「古いヴィンテージ時計なので、電池交換はお受けできません」と断られてしまうケースが少なくありません。
私も実際にあります。
ブランド名は忘れましたが、セイコーのヴィンテージ時計が止まっていたので、街の時計屋さんに持っていきました。
裏蓋を開けると電池は入っておらず、そこで言われた一言が
時計屋さん「電池入ってないからわからんわ。交換できません。」
私:「なんでやねん。」
オーソドックスツッコミ。
普段生活してる中で、あんま言わんけどここでは心の中でツッコミました。
なんでやねんすぎる。そんな経験も過去にはありました。
お店で断られたからといって、その美しい時計を眠らせたままにする必要はありません。適切な電池交換をすれば、初心者でも自分の手で安全に息を吹き返させることができます。
この記事では、セイコー・クロノスが持つ歴史的な魅力から、適合電池の調べ方、電池交換手順までを詳しく解説します。
良さとは?
「クロノス」という名は、もともと1958年に機械式腕時計の薄型高精度モデルとして登場したセイコーの歴史的名機に由来します。
その偉大なDNAを受け継ぎ、時計の歴史を塗り替えた1970年代。
セイコーが世界初のクォーツ腕時計を世に送り出して以降、技術者たちが血のにじむような軽量化・薄型化・高精度化の競争を繰り広げた、まさに「クォーツ黄金期」の最中に、このクォーツ版「クロノス」は誕生したそうです。
派手な装飾に頼るのではなく、ケースのエッジラインの美しさや、文字盤の細やかなテクスチャー、そして日本人の腕元に静かに収まるサイズ感。ここには、当時の日本の職人たちが「最高の日常着」として時計を仕立てようとした、至高の美意識が息づいていると感じます。
シャリオやシルバーウェーブ、ドルチェほどの派手さはないのですが、どっしりとたたずむビジネスウォッチの風格・それでもってヴィンテージウォッチなのが、私の中でポイントが高いのです。


再稼働の瞬間
私が街のリサイクルショプでディグをしていて、手に入れたのは、1970年代製のクロノスでした。
しかし、その時は時計の針は止まっていました。
すぐさま街の時計屋さんに持っていきました。
裏蓋に刻まれた数々の微細な擦り傷、ガラスの風貌の傷、いままでオーナーが手放し私の手元に渡ったクロノス。
何か歴史を感じます。
時計屋さんに到着!
そこで目の前で電池交換が行われました。
パカッと裏蓋が外れ、ムーブメント確認。
新しい日本製電池をスロットに収めたその時、止まっていた黒い秒針が、覚醒したかのように、チクタクと盤面を刻み始めました。
感動!
40年以上も前に日本の工場で組み立てられた時計が動いたんです。
自分が生まれる前の時計が動いた。それだけでなんかすごいし、日本の職人の技術はすごいなと。改めて感じました。
そんな経験が私の、「クロノス」との思い出です。
「キャリバー型番」と「適合電池」の調べ方
どれほど美しい時計であっても、適合しない電池を入れてしまっては意味がありません。
オールドセイコーの素晴らしい点は、裏蓋・キャリバーを見ると「答え」が隠れている可能性があります。
「型番」を読み解く

裏蓋には必ず「XXXX-XXXX」という形式の数字が刻まれています。
このハイフンの前にある4桁の英数字が、心臓部(ムーブメント)の型番(キャリバー)です。
70年代から80年代のクロノスに搭載されている主要なキャリバーと、それに対応する酸化銀電池の対応表は以下の通りです。
キャリバー:「5H23 / 5100」
適合電池型番(SW):「SR920SW」
※電池を購入する際は、、液漏れ対策など厳重に施されたマクセル(maxell)や村田製作所(旧SONY)などの「国産・時計用(SW)」を購入することをおすすめします。
電池交換に必要な2つの工具

1.精密こじ開けオープナー
クロノスに採用されている「スナップバック(はめ込み式)」の裏蓋を開けるための刃物状の工具。先端の薄さと適度な硬さが必要です。
2.ピンセット
一般的な金属ピンセットでボタン電池の上下(+とー)を挟むと、その瞬間に電池がショートし、容量がゼロになるだけでなく、時計の回路に過電流が流れて破損する可能性があるのでご注意ください。
電池交換の3ステップ
裏蓋を「外す」
裏蓋を観察すると一箇所だけ、くぼみがある箇所があります。
オープナーを引っ掛ける場所になります。
時計をホールドした手と、こじ開けを持つ手を完全に連動させます。
刃先を先ほどの凹みに密着させ、「押し込む」のではなく、ケースの縁を支点にして「テコの原理でクイッと手前に起こす」ようにトルクをかけます。
密閉されていた裏蓋が、小気味よい音とともにパコッと外れます。


電池交換
今回交換する電池はこちら↓
電池型番号:SR920SW/ 371

美しい金色の輪列や電子基板が現れます。
入っていた電池を外します。
電池の側面を押さえている極薄の金属スプリング(バネ端子)を、ピンセットの先で横にわずかに逃がすと、電池が浮き上がります。
取り外したら、新しい日本製電池の+面(文字が刻印されている平らな面)を上にして、スロットへ優しく滑り込ませます。
裏蓋をはめる
内部に埃が入っていないか確認し、防水ゴムパッキンが溝からズレていないかをチェック。
裏蓋の「リューズの軸を逃げるための凹み」の位置をリューズ側に正確に合わせる、または、裏蓋の文字が水平になっているかを確認し、全体が水平に沈み込むようにグッと圧力をかけます。
すると「パチン」と音がして隙間なく閉まれば成功です。
意外に手でも締めれちゃうんです。

はめられない時は専用の「裏蓋閉め機」を使いましょう!
「裏蓋閉め機」はこちら↓

名作の復活
自分の手でメンテナンスを行い、息を吹き返した1970年代のセイコー・クロノス。
その秒針が刻む一定のリズムで動きます。
やはり、一番の心が動く瞬間は、電池を交換して秒針が動くかどうか確認する瞬間です。
オーバーホールやリューズを外して、清掃などはプロの時計技師さんしかできない技術です。ですが、電池交換やベルト調整・簡単なメンテナンスは、初心者の方でも、正しい手順を踏めば意外とできるもんなんです。
最初は工具を揃えたり、腕時計の知識が必要かもしれません。
しかし、覚えてしまえば、工具を揃えてしまえば、あとは実践するだけです。
是非、工具を揃えて電池交換を行い、自分の愛用する・自分が持ちたいヴィンテージウォッチを復活させてはいかがでしょうか。
時計は自分の生活を高めてくれるそんな存在な気がします。

「ヴィンテージクォーツに興味がある」 「自分の1本がほしい」
そんな方は、私が販売しているギャラリー(YMOI オンラインストア)を訪れてみてください。 当店では、1970〜80年代の国産ヴィンテージウォッチを中心に、私が好きな時計を厳選してonlinestore紹介しています。
完全に主観で選んでいるんすけどね。笑
でも、この良さを共感していただけたら嬉しいです!
時を越え、あなたの日常に本物のラグジュアリーを添える特別な一本との出会いを、心よりお待ちしております。
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